教科書ワークは、家庭学習の基本ともいえる教材です。
けれど、発達特性のある子どもたちにとっては、「書くのがつらい」「集中できない」「問題文が難しい」など、多くのハードルがあります。
我が家の息子も、ASD傾向とDCD(発達性協調運動障害)があり、最初は教科書ワークを開くだけで「無理!」と拒否していました。
そんな彼が、今では「今日はこれならできそう」と自分でワークを選べるようになるまでに工夫してきた方法を、リアルな体験を交えてご紹介します。
教科書ワークが苦手な子の特徴
- 文字が多いと一気にやる気をなくす
- 図や表を読み取るのに時間がかかる
- 線をまっすぐ引けない、書くことにストレスを感じる
- 説明文や文章題を読み飛ばしてしまう
つまり、「普通の子ならサクサク解ける」ワークでも、認知・感覚・運動の観点でつまずきやすいのです。
教科書ワーク活用の7つの工夫
1. 一度に取り組む量を減らす
1ページ丸ごとではなく、1問だけ・5分だけからスタート。
「これだけでいいよ」と伝えることで安心して取り組めます。
2. 問題文は親が読み上げる
読むことが負担になる子には、親が読み上げてあげると、理解に集中しやすくなります。
3. 書く部分は代筆や選択式でもOK
「書くこと」がつまずきになっている場合、最初は口頭回答+親の代筆もOK。
シールやチェック方式に変えることで成功体験が増えます。
4. 問題文に色ペンで線を引く
どこが大事か分からない子には、親があらかじめ主語・動詞・問いに色をつけるのが効果的。
5. 「できたら消せる」マグネットシート活用
ワークの上に透明なマグネットシートを重ねて書く→終わったら消す、というスタイルは、「間違ってもいい」安心感につながりました。
6. 学習前に身体を整える
感覚過敏や集中困難がある場合は、学習前に感覚統合エクササイズ(クロスクロール、ロッキングキャットなど)を取り入れることで、落ち着いて机に向かいやすくなります。
7. 「学校と違っていいんだよ」と伝える
「ワークはこうやってやらないといけない」と思い込んでいる子には、「おうちでは自由でいいんだよ」と安心を与える声かけを忘れずに。
教科書ワークの選び方のポイント
- ページがカラフルで見やすいか
- 1ページの問題数が少ないか
- 解説がシンプルかどうか
- 答え合わせが子どもにもできる構造か
我が家では、最初は「教科書ぴったりトレーニング」など、問題数が少なく取り組みやすいものから始めました。
使った補助教材・アイテム
- スタディタイマー:集中をサポート
- カラーペン:文章の要点に色をつける
- マグネットシート:書いて消せる安心アイテム
- くもんのドリル:文章題・読解を段階的に練習
- Z会のワーク:考える力を育てながら、ワークへの抵抗感を緩和
「教科書ワーク=つらいもの」にしないために
家庭学習は、子どもの安心と自信を育てる場所です。
「書けなかったけど、考えたね」「間違えたけど、やろうとしたね」——そんな言葉を積み重ねていくことが、長期的な学力の土台になります。
「正確に」「全部きれいに解く」ことより、「自分で取り組めた」経験を大切にしていきましょう。
まとめ:教科書ワークも“わが子仕様”にカスタマイズ
同じ教科書ワークでも、子どもの特性に合わせてちょっとした工夫を加えるだけで、驚くほど取り組みやすくなります。
「教科書ワーク=苦行」だった息子が、「このページならやれる!」と選べるようになるまでに必要だったのは、ほんの少しの工夫と、たくさんの共感でした。
今日できなかった子が、明日も同じとは限りません。
その日の体調、感覚の状態に合わせて、家庭で柔軟に対応していきましょう。
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