「どうせできない」「やりたくない」「やらされてるだけ」
そんな言葉ばかりだったASDグレーの息子(現在9歳)が、ある日、ふと口にした言葉。
「ママ、今日の勉強、楽しかった」
信じられない気持ちとともに、思わず涙が出そうになった瞬間でした。
この記事では、その一言にたどりつくまでの家庭での工夫、
そして息子の「学ぶって楽しい」という気持ちを引き出すまでにやったことを、具体的にお話しします。
ASDグレーの子どもが「学ぶこと」を苦手とする理由
息子はASDの診断こそ受けていないものの、こだわりの強さ・感覚過敏・注意の偏りなど、いわゆる「発達グレー」といわれる特性を持っています。
特に困っていたのが、以下のような反応でした:
- 「できない」「難しい」と言ってすぐに投げ出す
- 指示が入りにくく、一方的に話してしまう
- 文章題や読解が極端に苦手
- 失敗するとパニックになる or 無言になる
「勉強=できない自分を突きつけられるもの」という意識が強く、
そもそも学びにポジティブな感情が一切なかったように感じます。
まずやったこと:「勉強」じゃなく「遊び」に変えた
そこで、私が最初にやったのは「学習=机でやるもの」という固定概念を崩すことでした。
声かけの例
- 「今日はこの実験やってみる?」(理科)
- 「この問題、クイズにしてみようか?」(算数)
- 「ストーリー読んで続きを考えるゲームしよう!」(読解)
とにかく「正解しなさい」という圧を減らし、やってみたいと思える動機を育てることに集中しました。
取り組んで良かった教材とその使い方
① Z会思考力ワーク
「正解のない問題」「自分で考える問題」が中心のZ会は、息子にとって新鮮だったようです。
最初は難しそうに見えるのですが、問いが親子で話し合える形式なので、
「こう思った!」「これもアリ?」と、会話が弾みました。
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② 公文のドリル(ぐーんとシリーズ)
ステップが細かく、1問ごとに達成感がある構成。
「これだけやればいいんだよ」と言えるシンプルさが安心感になりました。
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③ 感覚統合エクササイズを学習前に取り入れる
集中が続かないときは、ロッキングキャット、スーパーマン、クロスクロールなど、身体を整える運動を5分程度取り入れました。
そのあとに学習を始めると、身体の動き→脳の活性化という流れができ、理解力にも変化が見られました。
「楽しい」と感じたきっかけは「自分でできた!」
ある日、Z会の記述問題に対して、親の手を借りずに一人で答えを書いた息子。
「あれ?なんか、自分でできた。ママ見て!」
私が「すごいね!考えたんだね!」と声をかけると、
本人が少し恥ずかしそうに、でも満足げにこう言ったのです。
「勉強って、楽しい時もあるんだね」
この一言が出たとき、ようやく「学ぶ=自分で考えられるもの」という意識が育ってきたのだと感じました。
「楽しい」を育てるために大事にした3つのポイント
① 成功体験をスモールステップで重ねる
「全部できなくていい、1つでOK」を合言葉に、1問でも達成感があればそれで終了。
② 間違っても否定しない
「違ってるけど、こう考えたのはすごいね」「そのアイデア面白い!」など、発想を肯定する声かけを意識しました。
③ 学習を“共有体験”にする
一緒に考える、一緒に話す、「おもしろいね」と笑いあう。
こうした親子の共感が「楽しい」という感情を育てたと思っています。
今も「楽しい」が毎回ではないけれど
もちろん今でも、「やりたくない」「面倒」と言う日もたくさんあります。
でも、「今日はがんばるよ」「ちょっとおもしろかった」と、自分の中に“楽しい”を感じることができるようになってきました。
まとめ:「楽しい」は押しつけではなく、育てるもの
ASDグレーの子どもが学ぶ楽しさを感じるには、環境・教材・声かけ・タイミングがすべて関係してきます。
そして何より、「できないからダメ」と思わず、「この子の理解のペース・特性に合わせた方法で進めれば、必ず前向きになる瞬間がくる」と信じることが大切だと実感しました。
この記事が、同じように悩むご家庭のヒントになれば幸いです。
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