「できない!」「どうせ無理」「やりたくない!」
発達特性を持つ子どもに家庭学習を教えていると、何度もこんな言葉に直面することがあります。
でも、それは本人のやる気や努力の問題ではなく、“見られ方”や“声のかけ方”が原因であることも少なくありません。
今回は、発達グレーの息子(ASD・DCD傾向)に「できた!」を引き出すために、親である私自身が変えていった5つの視点をお伝えします。
視点1:「正しさ」より「気づき」に注目する
以前の私は、答えが違うとすぐに「違うよ」「ここミスしてる」と指摘していました。
でも、それでは「また間違えた」→「できない」→「もうやりたくない」という負の連鎖に。
そこで、次のように意識を変えました:
- 間違いを指摘する前に「ここまでできたね」と伝える
- 答えではなく「考え方」「途中の工夫」に注目して声かけ
- 自分で間違いに気づけたら「気づけたね!すごいね」と伝える
すると息子も、「間違っても怒られない」と安心できたのか、ミスを怖がらず取り組めるようになってきました。
視点2:「できる/できない」より「前と比べてどうか」に視点を置く
子どもが「〇〇くんはもっとできるのに」「僕はダメ」と言ったとき、
つい「そんなことないよ」と否定してしまいがちですが、それでは気持ちは癒されません。
私はこんな言葉に変えました:
- 「昨日より早く終わったね」
- 「この前より漢字がキレイになってるよ」
- 「2問目であきらめなかったの、前よりすごい!」
他人との比較ではなく“過去の自分と比べる”声かけは、
できなかったことに目が向きやすい子どもにとって、安心して努力を続けられる土台になります。
視点3:「どうやったらできるか」を一緒に考える
課題に直面した時、以前は「なんでできないの?」「もう一回考えて!」と圧をかけていました。
でもそれでは逆効果。代わりにこう言うようにしました:
- 「どうしたらうまくいくかな?」
- 「やり方を変えてみようか?」
- 「選択肢を出すから好きな方法選んでみて」
解決策を一緒に考えるスタンスに変えると、息子も「自分で決めた」意識が芽生え、
前向きに取り組むようになっていきました。
視点4:「静かな成功」を見逃さない
子どもが大きな成果を出さない限り褒めない、ではなく、
小さな一歩、小さな努力をきちんと言葉にして伝えるようにしました。
たとえば:
- 「今日は姿勢が崩れなかったね」
- 「途中で立たずに最後までやれたの初めてじゃない?」
- 「今日、漢字の“へん”を間違えなかったね」
本人も驚いたような顔をして「うん」と頷く瞬間、「ちゃんと見てくれてる」と感じられるようです。
視点5:「結果」より「プロセス」にOKを出す
これは特に大きな転換でした。結果がどうであれ、努力や工夫、取り組み方にフォーカスして褒めること。
たとえば、漢字のテストで60点だったとしても、
- 「最後まで諦めなかったことがすごい」
- 「練習の時より形が整ってきたよね」
こういった声かけで、息子はテスト結果よりも「がんばったこと」を意識するようになり、
「やってみよう」という意欲が育ちました。
「できた!」を引き出すために使った教材・サポートグッズ
- くもんの漢字ドリル(成功体験を積みやすい)
- Z会思考力ワーク(思考力の育成に◎)
- 感覚統合エクササイズルーティン(PDF付き)
まとめ:「親が変わる」と、子どもも変わる
私はずっと「子どもを変えたい」と思っていたけれど、
実際に変化が見えたのは、親である私自身が変わった時でした。
言い方、見る視点、認め方を少しだけ変えるだけで、
「できた!」という言葉が増え、学ぶことに前向きになった息子の姿を見られるようになりました。
「子どもが動かない」と感じたら、
ぜひ一度「自分の見方・声かけ」を見直してみてください。
きっと、親子関係にも、家庭学習にも、穏やかで温かい変化が訪れるはずです。
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